ヒューマンスケール

query_builder 2022/03/28
設計
ヒューマンスケール

現在、一般的に使われている寸法体系はメートル法です。これは計量法という法律で義務づけられたもので「取引上又は証明上の計量」には、国際基準であるメートル法を用いることとされています。ですから建築業界でも、図面上の寸法や図面の表記はすべてメートル法です。

かつての「分(ぶ)・寸(すん)・尺(しゃく)・間(けん)」といった日本オリジナルの単位は、日常生活からすっかり姿を消してしまいました。ところが建築現場に行くと、今でも威勢のいい職人たちが「サンジャクゴスン!」「イッスンインゴ!」と大声を張り上げています。メートル法以外の使用は、厳密には法律違反です。(理不尽ですね)にもかかわらず、いまだに尺貫法がしぶとく生き延びているのはなぜでしょうか。それは、その寸法体系のなかに、私たちの身体感覚にフィットする独特の柔軟性が秘められているからです。

メートル法|18世紀末のフランスで、地球の子午線上の周長を4千万分の1にしたものが1メートルと定められました。ということは、地球の周長は4万キロメートル。

尺貫法|尺の起源は諸説ありますが、いずれも手や腕の長さ(大きさ)をベースに考えられたと言われています。

寸法体系の起源をみてもわかるように「分・寸・尺・間」のほうが「メートル」よりも具体的なモノや身体の寸法としてリアリティをもちます。(1分=約3.03mm、1寸=約30.30mm、1尺=約303mm、1間=約1818mm)ちなみに、英米ではインチやフィートが使われますが、驚くべきことに1フィートと1尺はほとんど同じ長さです。(1インチ=25.4mm、1フィート(1インチ×12)=304.8mm)フィート(foot、feet)は文字どおり足の寸法を起源としていますから、同じ身体寸法である尺貫法と酷似しているのは、むしろ当然ですね。

住宅では、3尺=半畳=910mmを設計上の一つの目安としますが、それはなぜでしょうか。「立って半畳、寝て一畳」といわれるように、そのサイズが人間の動きに最低限必要な寸法だからです。したがって、建築材料ではいまだに尺・寸を単位とするものが当り前のように生産されています。もちろん、建築現場でも尺貫法によるやり取りが一般的です。

3尺=約909mmというように、一般には3尺=910mmとして端数を丸めた略数を使うことが多いのですが、これが面積計算になると端数も相乗されますのでオイソレと略すわけにはいきません。正確には、1尺=1000mm÷3.3=303.030303・・・mm、6尺=1818.181818・・・mm=1.818181・・・mですから、これをもとに面積の単位である「坪」を、メートル法に換算してみましょう。1坪は6尺四方(1間四方)ですので、1.818181…mの2乗=3.30577・・・㎡(1坪=3.3058㎡)となります。(なお、不動産広告では法律上「坪当たり~」とは表現できないので「3.3㎡当り~」と書かれています。)反対に、メートル法を坪に換算すると「1㎡=0.3025坪」です。したがって、面積の計算で㎡を坪に換算するときは「○○㎡×0.3025=□□坪」と計算すると便利です。

私たちの身体感覚にフィットしやすい尺貫法ですが、身体のサイズが総体的に変われば、いろいろと不都合が出てきます。統計によると17歳男子の平均身長は、1900年(明治33年)では157.9cm、2000年(平成12年)では170.8cmです。昔に比べて日本人の体格はずいぶんと大きくなりました。これだけ体格が大きくなっているのですから、住宅の寸法目安も再考を迫られて当然です。100年以上前の明治人は3×6尺(910×1820mm)の枠内にすっぽり収まっています。しかし、一回り大きくなった現代の人では窮屈になってしまいます。現在では、幅も高さも一回り大きく広げてつくることも多くなりました。高齢化社会を迎えて車イスの利用を考慮しているためでもあります。

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